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第八話 衝撃

Author: 景文日向
last update Last Updated: 2025-11-18 19:16:06

 円香からメッセージが来たのは、退勤後すぐのことだった。

『桜田さん、話せる? あんまり職場から近いところでは話せないから、ちょっと離れたカフェで』

 添付された地図は、渋谷のものだった。確かに、若い子が好きそうなエリアだ。

 了解、と返事をし向かう。もうすぐアラフォーにもなろうという男が入るには、いささか気後れする内装だ。

 一面ピンク色だし。何だかわからないが、キャラクターのグッズも置かれている。

 こう言うのが好きなのだろうか。

「桜田さん! こっちだよ! こっち!」

 元気な声で、俺を誘導する円香。聞かれたらマズいと言いながら目立とうとするのは、天然なのか。そうなのだろう。

「それで、話ってなんだ?」

 席に着いたので、本題を切り出す。

「ああ、うん……実はね……」

 しかし、円香は急にどもり始めた。そんなに言いづらいことなのだろうか。

 数分過ぎた後、彼女は小さな声で呟いた。

「桜田さんとは、もう会えないかもしれないんです」

「どういうことだ?」

 理解ができなかったので、問い返す。もう会えない?

 何かあったのは間違いない。

「実は……青森地検に異動になっちゃって」

「異動?」

 随分と急な辞令だな。そんなこと、あり得るのか?

 あり得なくはないのが、この事件か。俺が転勤になっていないのは、今や奇跡と言える。

「今日、出勤したらいきなりそう言われて……」

「昨日、あの後に何かあったか?」

 昨日の今日で、いきなりそうなるとは考えづらい。何か理由があるはずだ。

「昨日は、あの後侑くん……あ、日比谷侑検事とお話したんです」

「彼と……?」

 そういえば、説得するとか言ってたな。この様子では、結果を察せるが。

「結果は?」

 それでも、一応聞いておく。

「私は甘いって……痛い目を見るって言われちゃいました」

「それが、青森地検への異動?」

「……そう、なのかも。わからないですけど」

 それがわからないほど、この子は馬鹿じゃないだろう。

 わかっていても、認めたくないだけだ。

「じゃあ、これからどうするんだ?」

「青森に行かなかったら、クビですよ。行くしかないです」

 二回しか会っていないが、今にも泣きそうな彼女は初めて見た。

 どんな時でも明るいイメージだったから、意外な一面だ。

「でもね……最後に仕掛けようと思うんです」

「仕掛ける?」

 どうやら、本題は
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